童謡「七つの子」や「シャボン玉」、「赤い靴」などを作詞した野口雨情が作詞を手がけた民謡。
雨情は「北原白秋」、「西城八十」とともに、童謡の三大詩人と言われた。
大正の末期、大北川に船を浮かべて清遊し、感興が湧き「磯原節」を作ったという。
磯原町は北茨城市の中心市街地で、磯原炭鉱が操業していた頃は、町に活気があふれ花街も栄えていたといわれる。
磯原の海岸は景勝の地で、夏は海水浴場としてにぎわう。
光圀が天妃神をまつったという天妃山が海中に突き出し、その北方には2つの島が海に浮かんでいる。
また、五浦には岡倉天心ゆかりの六角堂が岩礁の上にあるが、朱塗りの堂が松の緑に映えて美しい。
磯原の海を見下ろして、雨情ゆかりの「磯原節」の民謡碑、「あの町この町」の童謡碑が立っている。
また、雨情の生家の近くに雨情会館があり、会館前の広場に雨情の銅像と「磯原小唄」の碑が立っている。
「磯原節」は、海岸の風情を主題とし、情緒豊かな唄である。
歌詞の「末の松並」は、雨情の生家から陸前浜街道を北に向かって約1キロのあたりにある松並木で、このあたりは末の松並木と呼ばれたところである。
雨情が遊んだ大北川からこの松並木を望むことができる。
「磯原節全国大会」は毎年12月第1土曜日に北茨城市で開催されている。
「磯原節」歌詞
〽末の松並 東は海よ 吹いてくれるな 潮風よ
風にふかれりゃ松の葉さえ おや こぼれ松葉になって落ちる
〽お色黒いも 磯原生まれ 風に吹かれた 潮風に
啼いてくれるな渚の千鳥 おや 末の松浪ゃ 風さらし
〽潮は引き潮 まだ月ゃでない 出れば東が白くなる
夜明け千鳥かあのなく鳥は おや 便り少ない声ばかり
〽波はどんどと小磯にうてど 打つは仇波音ばかり
風にゃさらされ波には打たれ おや 沖の磯石ぁひとりぽっち