俗曲の一種。歌詞から受ける印象によって情歌(じょうか)ともいう。
江戸末期から明治にかけて愛唱された歌で、七・七・七・五の26文字でさえあれば、どのような節回しで歌ってもよかった。
現今の節は、都々逸坊扇歌(どどいつぼうせんか)の曲調が標準になっている。
都々逸は天保9 (1838) 年8月1世都々逸坊扇歌が寄席で唄ったのを機として流行したといわれる。
都々逸の創始者とされる都々逸房扇歌は常陸太田市磯部町に生まれた。
都々逸房扇歌の功績を讃え、昭和32(1957)年5月5日に扇歌の生誕155周年を記念して、地元の有志たちが石碑を建立した。
碑のかたわらには、『都々逸房扇歌』の著者で、評論家としても有名な木村毅が書したとされる「磯部たんぼのばらばら松は 風も吹かぬに 気がもめる」との歌が記された歌碑があり、一層の趣を添えている。
三千世界の カラスを殺し
主と朝寝が してみたい
の歌詞は有名だが、作者が幕末の志士の高杉晋作だと言われている。
いろんな解釈があるが、
「三千世界」・・・この世の中のすべて
「カラス」・・・片付けなければならない厄介な問題や、色々と面倒な諸事万端の喩え
「主」・・・愛するあなた
という解釈が妥当だろう。
これは、遊女に対して客の男が唄ったかもしれないし、
解釈の仕方では、遊女が客に対して唄った、のかもしれない。
後者だと、遊女からこの唄を詠んでもらった高杉晋作が、
「いい唄だったなぁ」と何度も道すがら口ずさんでいる姿がなんとも情緒があっていい。
毎年11月には常陸太田市で「都々逸全国大会」が常陸太田市で開催されている。